高配当株の落とし穴｜配当利回りだけで選んではいけない理由

高配当株の落とし穴とは？

投資を始めたばかりの人にとって、「配当利回りが高い株」はとても魅力的に見えます。なぜなら、持っているだけで定期的にお金（配当金）がもらえるからです。でも、配当利回りが高いからといって安心して買ってしまうと、思わぬ落とし穴にハマってしまうことがあります。

この記事では、配当利回りだけで株を選ぶとどんな危険があるのかを、わかりやすく解説していきます。

まずは「配当利回り」が何かを簡単に説明します。

配当利回りの計算式	1株あたりの年間配当金 ÷ 株価 × 100

たとえば、ある会社の株価が1,000円で、1年間に40円の配当金を出している場合、配当利回りは次のように計算されます。

40 ÷ 1000 × 100 ＝ 4.0％

この「4.0％」が配当利回りです。銀行の普通預金が年0.002％くらいしかつかないことを考えると、かなり高く感じるかもしれません。

「配当利回りが高いほどいい株なんじゃないの？」と思うかもしれません。でも、実はそうとも限らないのです。

以下の表を見てください。

企業名	株価	配当金	配当利回り
A社	1,000円	50円	5.0％
B社	500円	50円	10.0％

B社はA社よりも株価が半分ですが、配当金が同じなので、配当利回りは10％もあります。でも、B社の株価が下がった理由が「業績悪化」だったらどうでしょう？

つまり、株価が下がって配当利回りだけが高く見えている場合、それは「危険サイン」かもしれないのです。

配当は、企業の利益の一部を株主に分け与える仕組みです。ということは、企業が赤字になったり、業績が悪くなれば、配当金を減らしたり（減配）、ゼロにしたり（無配）することがあります。

たとえば、次のような流れです。

こうなると、高配当目当てで買った株が「配当もなくなり、株価も下がる」というダブルパンチを受けることになります。

配当利回りが高い株を見つけたとき、「なぜこんなに高いのか？」と疑ってみることが大切です。

以下のようなチェックポイントを参考にしてみてください。

こうした視点で企業をチェックすることで、落とし穴を避けることができます。

投資で大切なのは「配当」だけではありません。「値上がり益（キャピタルゲイン）」も含めた「トータルリターン」が重要です。

たとえば、以下の2つのケースを比べてみましょう。

	配当利回り	株価の変化	1年後の利益
X社	5％	−10％	−5％
Y社	2％	＋8％	＋10％

X社は配当利回りが高いですが、株価が大きく下がったため、最終的には損をしています。一方、Y社は配当が少なくても、株価が上がったことで利益を得ています。

高配当株には魅力がありますが、配当利回りだけを見て買うのはとても危険です。利回りが高いのには、何か理由があるかもしれないという視点を持つことが、失敗しないための第一歩です。

ポイントをおさらいしましょう。

投資は自己責任ですが、しっかりと学びながら判断していけば、失敗を減らすことができます。これから投資を始める人も、すでに始めている人も、「高配当株の落とし穴」に気をつけて、賢く資産を増やしていきましょう。